日本の大学院受験の準備:面接の予想質問と回答のポイント
- Rie T
- 1月7日
- 読了時間: 14分
更新日:1月8日
大学院受験では、筆記試験や書類選考を通過した後、ほとんどの学校で面接が行われます。研究計画や志望動機、将来のキャリアビジョンなどが問われ、受験生の研究への熱意や適性が評価されます。そのため、面接の準備が不十分だと、どれほど優れた研究計画書を提出していても、合格できない可能性があります。
特に大学院の面接では、面接官が受験生の専門知識や論理的思考力を確認するために、深掘りした質問をしてくることが一般的です。そのため、表面的な準備だけではなく、しっかりとした受け答えができるように練習することが重要になります。
J-CALPブログでは、大学院受験の面接の流れやよく聞かれる質問、回答のポイントについて詳しく解説します。面接対策を万全にし、自信を持って本番に臨みましょう。

目次
大学院面接の基本的な流れ
よく聞かれる質問と回答のポイント
研究計画について
志望動機について
大学院卒業後のキャリアについて
学部時代の研究や経験について
その他の質問(長所・短所、自己PR など)
面接成功のための準備方法
徹底的に模擬面接を行う
予想質問への回答練習
面接時のマナーと話し方
面接で避けるべき失敗例と対策
曖昧な回答や矛盾のある説明
話しすぎ・話さなすぎ
専門用語の使い方
5. まとめ
1. 【大学院受験】面接準備の基本的な流れ
大学院の面接は、志望する専攻や大学によって多少の違いはありますが、一般的には以下のような流れで進みます。
1.1 面接の形式
大学院の面接には、大きく分けて以下の2つの形式があります。
個人面接
受験生1人に対して、教授や面接官数名が質問する形式。
研究計画や志望動機について詳しく聞かれることが多い。
深掘りされた質問が多く、専門知識が問われることもある。
グループ面接
複数の受験生が同時に面接を受ける形式。
一人ひとりに質問がされるが、他の受験生の意見を聞いた上で答えを求められる場合もある。
コミュニケーション能力や協調性が評価されることもある。
多くの大学院では個人面接が主流ですが、場合によっては事前に発表やプレゼンテーションを求められることもあるため、志望先の試験形式をしっかり確認しておくことが重要です。
1.2 面接の流れ
一般的な大学院面接は、以下のような流れで行われます。
(1) 入室・自己紹介
ドアをノックし、「失礼いたします」と挨拶して入室。
面接官から指示があれば着席し、簡単な自己紹介を求められることがある。
第一印象が重要なので、落ち着いて明るく話すことを意識する。
(2) 志望動機の質問
なぜこの大学院を志望したのか?
指導教官を希望する理由は?
他の大学院と比較して、この大学院を選んだ理由は?
他の大学院は受験したのか?
志望動機は面接の中でも特に重要なポイントなので、事前にしっかり整理しておくことが大切。
(3) 研究計画に関する質問
研究テーマの背景や目的を説明できるか?
研究の方法や期待される成果は?
研究の独自性や意義は?
面接官は受験生の研究に対する理解度と論理的思考力を確認しようとするため、具体的なデータや過去の研究成果を踏まえて話せるようにしておくことが重要。
(4) 学部(大学)時代の研究や経験に関する質問
学部時代に取り組んだ活動や研究についての説明をしてください。
研究の結果はどのようなものだったか?
研究で苦労したことや学んだことは?
自分の研究や経験について整理し、わかりやすく伝えられるよう準備しておくことが求められる。
(5) 大学院修了後のキャリアについて
大学院修了後の進路はどう考えていますか?
研究を今後どのように活かしたいですか?
企業就職か、博士課程進学か?
将来のキャリアについて明確なビジョンを持ち、それを論理的に説明できるようにしておくことが大切。
(6) その他の質問(長所・短所、自己PR など)
自分の強みや弱みをどう考えていますか?
大学院でどのように成長したいですか?
最近読んだ論文や興味を持っている研究は?
一般的な面接で聞かれるような質問もあるため、事前に準備しておくことが望ましい。
(7) 質疑応答・退室
「最後に何か質問はありますか?」と聞かれることがあるため、逆質問を用意しておく。
退室時には、「ありがとうございました」と挨拶し、落ち着いて退出する。
大学院の面接では、受験生の論理的思考力・専門知識・研究に対する熱意が見られます。そのため、しっかりと準備し、自信を持って答えられるようにしましょう。

2. よく聞かれる質問と回答のポイント
大学院面接では、受験生の研究計画や志望動機、将来のキャリアビジョンなどが重点的に問われます。ここでは、よく聞かれる質問をテーマごとに整理し、回答のポイントを解説します。
2.1 研究計画について
質問例
あなたの研究テーマについて簡単に説明してください。
なぜこの研究をしたいのですか?
研究の目的と期待される成果は?
どのような方法で研究を進める予定ですか?
研究の独自性や社会的意義は?
回答のポイント
シンプルに説明する:研究テーマが専門的であっても、面接官が理解しやすいように簡潔な言葉で説明する。
研究の背景を明確にする:なぜこの研究が必要なのか、学術的・社会的な観点から説明できるように準備する。
具体的な方法論を述べる:どのようなデータを用いるのか、どの手法で分析するのかを簡潔に説明する。
期待される成果を示す:研究が成功した場合にどのような新しい知見が得られるのか、明確に述べる。
回答例
「私の研究テーマは『○○に関する△△の影響』です。このテーマを選んだ理由は、過去の研究では□□が主に議論されていましたが、△△の視点からの分析が不足していると感じたためです。研究では、○○のデータを収集し、△△を用いた分析手法で評価する予定です。これにより、□□に関する新たな知見を提供し、将来的には◇◇の発展に寄与できると考えています。」
2.2 志望動機について
質問例
なぜこの大学院を選びましたか?
指導教員として○○教授を希望する理由は?
他の大学院ではなく、ここで学びたい理由は?
回答のポイント
具体的な理由を述べる:大学の特色や研究環境、指導教員の研究内容と関連づける。
自分の研究と結びつける:大学院で学ぶことで、自身の研究がどのように発展するのかを示す。
他の大学との差別化:この大学院でなければならない理由を明確にする。
回答例
「貴学を志望した理由は、○○教授の△△に関する研究が私の研究テーマと密接に関係しているからです。特に、○○教授の研究では□□という視点が取り入れられており、私の研究に応用できる可能性があると考えています。また、貴学は△△に関する研究設備が充実しており、実験やデータ分析を進める上で最適な環境が整っている点も大きな魅力です。」
2.3 大学院卒業後のキャリアについて
質問例
大学院卒業後の進路はどのように考えていますか?
研究を今後どのように活かしたいですか?
博士課程への進学は考えていますか?
回答のポイント
具体的なキャリアプランを示す:漠然とした回答ではなく、大学院での学びをどのように活かすかを説明する。
大学院での研究と関連づける:大学院で得た知識や経験が、将来のキャリアにどのように役立つかを明確にする。
進学希望なら明確に伝える:博士課程への進学を考えている場合は、その理由も説明する。
回答例
「大学院修了後は、△△分野の研究職に就き、□□の開発に携わることを目指しています。そのために、大学院では○○の研究を深め、専門知識と研究スキルを磨きたいと考えています。また、将来的には博士課程へ進学し、より高度な研究に挑戦することも視野に入れています。」
2.4 学部時代の研究や経験について
質問例
学部時代に取り組んだ活動や研究について教えてください。
研究の成果はどのようなものでしたか?
研究の中で特に苦労した点は?
回答のポイント
活動や研究の目的と成果を簡潔に述べる:学部時代の活動や研究を端的にまとめる。
学んだことを強調する:研究を通じて得た経験やスキルをアピールする。
大学院での研究につなげる:学部での研究が、大学院での研究とどのように関係しているのかを説明する。
回答例
「学部では○○に関する研究を行いました。特に□□に焦点を当て、△△という手法を用いて分析しました。その結果、◇◇という新たな知見を得ることができ、学会で発表する機会も得ました。この研究を通じて、データ分析の手法を学ぶことができたので、大学院ではさらに精度の高い分析手法を用いて□□の研究を深めていきたいと考えています。」
2.5 その他の質問(長所・短所、自己PR など)
質問例
自分の長所と短所を教えてください。
最近読んだ論文や興味を持っている研究は?
面接官にアピールしたいことはありますか?
回答のポイント
長所は研究活動に関連付ける:研究や学習の過程で活かせる強みをアピールする。
短所は克服の努力を説明する:短所を正直に伝えつつ、それを改善するための取り組みを述べる。
最新の研究動向にも触れる:最近読んだ論文や研究について話せるようにしておく。
回答例
「私の長所は粘り強く問題に取り組む姿勢です。研究では、何度もデータの解析をやり直す必要がありましたが、試行錯誤を重ねて納得のいく結果を得ることができました。一方で、短所は慎重すぎる点です。判断に時間がかかることがあるため、研究では計画的に進めるよう意識しています。」
大学院の面接では、これらの質問が高い確率で出されます。事前にしっかりと回答を準備し、自信を持って答えられるようにしましょう。
3. 面接成功のための準備方法
大学院の面接では、論理的な受け答えと落ち着いた態度が求められます。そのため、しっかりとした事前準備が成功の鍵となります。本章では、面接に向けてどのような準備をすればよいのかを具体的に解説します。
3.1 徹底的に模擬面接を行う
何度も模擬面接を行うことで、本番の雰囲気に慣れ、自分の弱点を把握できます。
模擬面接のポイント
大学の教授や先輩にお願いする:実際に面接官と同じ立場の人にフィードバックをもらうことで、より実践的な練習が可能。
友人や家族と練習する:第三者に質問してもらうことで、回答の流れや話し方を確認できる。
録音・録画して見直す:自分の話し方や表情、言葉の癖をチェックし、改善点を見つける。
模擬面接を繰り返すことで、自信を持って本番に臨めるようになります。
3.2 予想質問への回答練習
面接ではよく聞かれる質問が決まっているため、あらかじめ回答を準備しておくことが重要です。
回答練習の方法
想定質問をリストアップする:本記事で紹介した質問を中心に、自分の研究や志望動機に関する質問を洗い出す。
回答を文章化し、暗記ではなく要点を押さえる:丸暗記ではなく、話の流れを理解し、自然な会話になるまで練習する。
専門用語の説明も準備する:専門用語を使う場合は、面接官が異分野の研究者であっても理解できるように説明する。
例えば、「あなたの研究テーマを簡単に説明してください」という質問に対しては、30秒・1分・3分のバージョンを準備しておくと、面接の流れに応じて適切に答えられるようになります。
3.3 面接時のマナーと話し方
面接では、回答の内容だけでなく、話し方や態度も評価されます。
面接の基本マナー
入室時のマナー
ノックをして「失礼します」と言ってから入る。
面接官の目を見て挨拶し、指示があれば着席する。(勝手に着席しない)
話し方のポイント
ゆっくり話す:緊張すると早口になりがちなので、意識してゆっくり話す。
論理的に答える:結論 → 理由 → 詳細 の順番で答えると、分かりやすく伝わる。
適度なアイコンタクトを取る:面接官の顔を見ながら話すことで、印象が良くなる。
退室時のマナー
面接が終わったら「ありがとうございました」とお礼を述べてから退室する。
これらの基本的なマナーを守ることで、好印象を与えることができます。
3.4 服装と持ち物の準備
服装や持ち物も、面接の準備として忘れてはいけません。
服装のポイント
スーツが基本:黒や紺、グレーなどの落ち着いた色のスーツを選ぶ。
清潔感を意識する:シワや汚れがないように事前にチェック。
持ち物の確認
受験票や身分証明書:忘れると面接を受けられない場合があるので要注意。
研究計画書や論文のコピー:面接で参照することがあるため、持参しておくと安心。
筆記用具とメモ帳:万が一のために準備しておくと良い。
3.5 緊張を和らげる方法
面接本番では、緊張するのは当然ですが、過度な緊張は避けたいものです。
緊張を和らげるコツ
事前に深呼吸をする:面接前にゆっくり深呼吸をすることで、落ち着きを取り戻せる。
ポジティブなイメージを持つ:「自分は準備をしっかりしてきた」と自信を持つことで、安心感を得られる。
面接官も人間だと意識する:面接官は敵ではなく、研究に興味を持ってくれる人だと考えると、緊張が和らぐ。
4. 面接で避けるべき失敗例と対策
大学院の面接では、準備不足や緊張によって思わぬミスをしてしまうことがあります。本章では、よくある失敗例とその対策を紹介します。
4.1 曖昧な回答や矛盾のある説明
失敗例
「○○について研究したいと思っていますが、まだ詳しくは決まっていません。」
「この研究が重要だと思います。でも、なぜ重要かはまだ考えていません。」
対策
研究計画を明確にする:自分の研究テーマや目的をしっかり整理し、分かりやすく説明できるようにする。
論理的に答える:質問に対して結論→理由→具体例の順で答えるように意識する。
研究の意義を考えておく:なぜその研究をしたいのか、社会的・学術的な価値を明確にする。
改善例
「私の研究テーマは○○です。この研究を通じて△△のメカニズムを明らかにし、□□分野の発展に貢献したいと考えています。」
4.2 話しすぎ・話さなすぎ
失敗例
話しすぎる場合:「○○の研究では、まず□□を調べ、その後△△を分析し、さらに◇◇のデータを取り、最終的には……(延々と続く)」
話さなすぎる場合:「はい。」「そうです。」(短すぎて面接官がそれ以上の深い質問ができない)
対策
1分程度で簡潔に答える:長すぎると要点が伝わらず、短すぎるとアピール不足になるため、適度な長さを意識する。
相手の反応を見ながら話す:面接官が興味を持っているかどうかを観察し、必要に応じて詳細を加える。
質問の意図を正しく理解する:的外れな回答を避けるため、質問の意味をしっかり把握してから答える。
改善例
「○○の研究を進める理由は、△△の未解明な部分を明らかにするためです。具体的には□□を用いた分析を行い、新たな知見を得ることを目指しています。」
4.3 専門用語の使い方に注意
失敗例
「この研究では、シンプレクティック幾何学の観点からコホモロジー群の計算を行います。」(専門的すぎて面接官が理解できない)
「○○とは、△△の一種で□□に適用できる手法です。」(説明が不足していて伝わらない)
対策
専門用語を分かりやすく説明する:面接官が異分野の研究者である可能性も考え、誰でも理解できるように話す。
簡単な言葉に言い換える:難しい専門用語を使う場合は、日常的な言葉で補足説明を加える。
例を挙げて説明する:「○○は△△のようなもの」と比喩を用いると伝わりやすい。
改善例
「この研究では、数学のある分野で使われる幾何学的手法を応用し、新しい解析方法を提案します。」
4.4 態度やマナーの問題
失敗例
目を合わせない:終始下を向いて話し、面接官と目を合わせない。
姿勢が悪い:猫背や貧乏ゆすりなど、不安そうな態度をとる。
無表情・無愛想:感情が伝わらず、興味がないように見えてしまう。
対策
適度なアイコンタクトを取る:相手の顔を見ながら話すことで、自信がある印象を与える。主に質問者の顔を見ながら話すが、面接官が複数いる場合は、時々他の面接官にも目線を向ける。
姿勢を正す:背筋を伸ばして座ることで、落ち着いた印象を与えられる。
表情を意識する:緊張しても、笑顔を心がけると良い印象を与えられる。
4.5 逆質問がない(または不適切な質問)
失敗例
逆質問がない:「特にありません。」(意欲がないように見える)
調べれば分かる質問をする:「この大学院では何を研究できますか?」(事前調査不足と思われる)
対策
事前に質問を用意する:研究やカリキュラムについて、面接官に聞きたいことを考えておく。
自分の研究と関連づけた質問をする:「○○教授の△△の研究に興味があるのですが、現在進めているプロジェクトについて詳しく教えていただけますか?」
適切な逆質問の例
「貴研究室では□□の分野の研究が盛んだと伺っていますが、今後どのような方向に進めていく予定でしょうか?」
面接では、内容だけでなく態度や話し方も評価の対象になります。これらの失敗を避けるために、事前準備と練習を徹底しましょう。
まとめ
大学院面接は、受験生の研究への熱意や論理的思考力が試される場です。事前準備を徹底し、自分の考えを明確に伝えられるようにしておきましょう。しっかりと練習を積み、自信を持って本番に臨めば、良い結果につながるはずです。
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